腹圧トレーニングについて
Contents
解剖
外層
背部: 脊柱起立筋
腹部: 外腹斜筋 腹直筋
(脊柱起立筋)
(外腹斜筋) (腹直筋)
中間層
背部: 多裂筋、腰方形筋
腹部: 内腹斜筋 腹横筋 (内層)
(多裂筋) (腰方形筋)
(内腹斜筋) 腹横筋 (内層)
※脊柱を一体化させて円滑且つ効果的に安定化させる。
※四肢筋が働く0.018秒前に体幹筋が働く
腹部の機能
① 打突やコンタクトによる体幹の安定
相撲やラグビーなどの接触を行うスポーツは、ぶつかる直前に体幹部を瞬間的に強固に固定し、コンタクトする機能が必要になってくる。
ぶつかる瞬間は、腹部筋群・胸筋も同時収縮していると考えられる。
しかし、当たる直前までは固まったままでは動きの自由度が損なわれるために、中間層での腹圧維持した状態であたる瞬間に外層部を固める能力が必要になる。
②上、下肢を用いる際の体幹部の安定
床面から足が離れた状態(OKC)で上下肢の動きを生じる際に支点となる体幹の安定性が必須となる。
a. 腹圧による安定
腹直筋・外腹斜筋の緊張は起始・付着部から骨盤を後傾位します。また、胸 椎に付着しているため胸郭拡張不全を引き起こす可能性があります。
股関節屈筋群が腹直筋・外腹斜筋より強固な場合は、骨盤前傾位等のアライメント不良を生じさせ、良好な構えの動作をつくれないため、 骨盤を後傾する必要がある。
良好なアライメントをコントロールできる能力を養い、 腹横筋や内腹斜筋などによる安定性の確保が望ましいと考えられる。
b. 上肢、胸郭を用いての安定
胸郭を背筋群により開いたりすることで腹筋群の起始を引っ張るこ とによって腹部の緊張をもたらし安定を図る。
両上肢を外転など挙上することにより僧帽筋が帆のような役割をす ることで体幹の固定性を増すことがある。
③ 筋力の発揮
体幹を屈曲・回旋などのADL上においては起き上がりなどを行う上で外腹筋は重要である。
競技特性においては遠心性収縮から伸張反射を利用した競技が多く、 プライオメトリックの要素が強いと考えられる。
腹腔内圧
腹部内圧を高めるには?
①腹横筋で体幹を周囲から収縮
②多裂筋で不安定な背骨を直接支える
③上部の横隔膜で圧迫
④骨盤底筋で下方より圧迫する
① 腹横筋の収縮
強制呼気時に収縮します。
腹横筋を収縮させる方法
①仰臥位にて両手を腹部に軽く置き、 大声を出すように息を口から吐いてみると腹部に乗せた手が軽く沈むことで腹横筋が収縮する。
②生理的彎曲を保ったまま、鼻から息を吸い、 口から息を吐くときにおへそを背骨に引き寄せる
腹横筋のアイソメトリックでの収縮の維持するためには
筋の収縮した後に、再び息を鼻から吸うときに緩まる。
(アイソメトリックとは、筋肉の長さが変わらない運動)
脊柱の生理的彎曲を保つとは
恥骨と剣状突起を結んだ線が床に平行となる位置。
※ 骨盤の後傾→腹直筋、外腹斜筋の収縮
②多裂筋の収縮
腹直筋の収縮は、腰背腱膜を介して多裂筋を収縮させる
椎間関節を安定化させる
※腹直筋の収縮では、多裂筋の収縮は出ない
③骨盤底筋の収縮
排尿、排便、放屁を止めるときに使う骨盤底当辺りが緊張し収縮します。
腹圧の問題によって引き起こされる生理的湾曲の問題点は?
① 前彎増強型
骨盤前傾、股関節内旋位などのKnee-in 、下腿の背屈制限、 立位での長時間の生活や、ハイヒールなどの生活様式で起こりやすい。
背筋群、股関節屈筋群の柔軟性や股関節の求心位 (外旋、外転筋 特に梨上筋)保持が重要となる。
前彎増強型に対してのエクササイズは?
①股関節屈曲、膝関節屈曲位での腹圧エクササイズ
骨盤後傾のコントロ ールが重要 (腹直筋 外腹斜筋) となる。
②股関節・膝関節伸展位でのエクササイズ (立位の場合など)
股関節屈筋群(大腿筋膜張筋、腸腰筋、
② 後彎タイプ
骨盤後傾、股関節外旋位の人、坐位姿勢 (椅坐位、あぐら位など)を長い間強いられたり、 中腰姿勢の多い生活環境などで多い。
大殿筋や外側広筋などの大転子下の筋開放やハムストリングスの柔 軟性が彎曲を作る点での最初の条件となる。
股関節屈曲位よりも股関節伸展位のほうが生理的彎曲をつくりやすい。
③ 変形性脊椎症
脊椎の OA化、 椎間板の変性により生理的彎曲が静的因子により獲得できない。
胸郭の拡張や腰椎伸展可動性の獲得などにより、 腹部の緊張をつくることが重要となる。
④その他
競技特性による非対称性の運動習慣により、 左右非対称の彎曲形態を呈する。 腹圧の入り方に左右差 がある場合 があり、ピンポントでの圧の入れるエクササイズが必要となる。
このような彎曲形態は、 仙腸関節の位置が影響している場合がある。
タイトネスも、 背筋群の緊張や股関節の柔軟性が左右の非対称のため、ストレッチの種類の選択が重要。
また腰椎骨盤リズムや股関節の可動性とリンクしない場合は、仙腸関節の病態(不安定性や機能異常)を伴っている場合が多い。