歩行分析のポイントとは?
1. 骨盤の回旋
大腿を前に振り出す時は、 骨盤もそれに合わせて約4回旋する。
体幹の回旋は逆方向になる。
2. 骨盤の側方傾斜
片脚支持期に重心が最も高くなり、反対側の骨盤が5°下がる。
骨盤の傾斜により重心が低下し、重心軌跡が平坦化する。
遊脚側は骨盤が下がるので足底が床から数cm上をクリアするため に、股関節・膝関節が屈曲し、足関節が背屈する (相対的下肢長の短縮)。
骨盤の傾斜をコントロールするには体重支持側の外転筋群 (中殿筋・大腿筋膜張筋) が重要である。
3. 骨盤の側方移動
二足歩行は左右の脚へ交互に連続して体重負荷を行っているので、 重心はS字カーブを描く。
歩幅が広いと重心の側方移動が大きくなるが、 膝の生理的外反のおかげで歩隔は骨盤よりも狭く(4.5cm以内)、 側方動揺が小さくてすむ。
体重を立脚相に移動する際、 頭を動かさずに骨盤を移動、 上部体幹以上を移動、この2つの動きを意識せずに行えなければ異常である。
4. 足関節と膝関節の機構
足関節背屈筋の弱化によりフットスラップ (ばた足) が起こり、 底屈筋の機能障害により踏み返しが なくなり重心軌跡がとがったものになる。
足関節は股関節よりも前にあるときは背屈 (同時に膝も伸展)し、後ろにあるときは底屈する。
この動きにより、 床までの相対長を長くして重心位置を引き上げて平坦化している。
立脚期で最も重心が高くなるのを、 膝を15° 屈曲させて重心を低下させる。
これをダブルニーアクションという。
5. 歩行に関する数字 その他
歩行率 (cadence): 成人で80~120、180以上で走行となる。
歩行速度 (velocity): 普通はcm/min で表す。
健常者は10m歩くのに10秒以上かからない。
片麻痺では10秒以内で歩くことは出来ない。
男性は歩幅で速度をかせぎ、女性は歩行率。
歩隔: 成人男子50mm~100mm
足角: 平均7°。 歩行速度が上がると減少する。