異常外旋を解消するためのポイント!!
① 前面の問題
infrapatella contracture syndrome (IPCS) の解消
膝蓋腱周囲に硬い脂肪体が存在する。一見腫脹関節水腫は無く、繊維化した脂肪体が膝伸展により大腿脛骨関節によって圧迫され前方に押し
腸脛靭帯や膝蓋靭帯の可動性の確保
大腿脛骨関節外側コンパートメントの伸展制限の原因を解消
②側面の問題
LCS を呈してい場合、腸脛靭帯の滑走不全が多く、外側広筋や大腿二頭筋の柔軟性低下により緊張を強めている。
大腿二頭筋と外側側副靭帯 (LCL) の境界が不明瞭のため、、膝伸展域で互いに緊張を及ぼしあう。
LCL と膝窩筋腱や関節包の滑走不全がある場合、LCLの緊張を強める。
これらの問題は、混在してLCS を形成する場合が多い。
これらの組織全体が膝の運動する際に、円滑に筋滑走 し、 最終伸展位でも緩んだ状態になるよう問題を解決していく必要がある。
③後面の問題
下腿外旋位での深い膝屈曲は、脛骨外顆後縁と大腿骨遠位骨幹部後面が衝突する。
また腓腹筋外側頭が挟み込まれることで損傷を受ける場合もある。
これら膝後面外側の器質的な損傷はその周囲に炎症・組織の癒着を招き、大腿脛骨関節外側の伸展制限を起こす。
癒着が起こっている部位を画像および触診等で把握し、 その部位の可動性を回復させることが必要となる。
○ LCS 解消の要点
(1) 関節周囲の炎症を寛解し、腫脹を軽減する。
(2) 膝関節の股関節および足関節の運動連鎖の影響を最小限 とするため、 膝関節二関節筋や腸脛靭帯などの緊張を寛解する。
(3) 膝関節固有の組織の過緊張を解消、 膝他動伸展時に異常外旋を消失させる。
(4) エクササイズを習慣化することで、完全伸展の獲得。
(5) 日常生活動作・スポーツ活動時の間違った動作習慣を改善。
外旋を解消するためには?
二関節筋の緊張寛解
二関節筋の緊張寛解には ISR (inter structural release) が有効です。
ISR とは筋・腱・靭帯などの軟部組織の緊張寛解のさせることが出来ます。
大腿直筋に対する ISRは、大腿四頭筋を弛緩させた状態から行います。
この状態で、 大腿直筋と内側広筋・外側広筋との間を一 定の強さで押しつつ、下腿を前後にブラブラと動かしながら膝を屈曲・ 伸展させます。
一つの圧迫点につき下腿を10~20回揺らす。圧迫による痛みが軽減して、大きく揺らすことができたら、圧迫するポイントを1~2cm 横に移動する。
大腿直筋の走行に沿って全長にわたって繰り返すことで、 隣接の他の筋の影響を受けない独立した筋活動が得られやすくなる。
ハムストリングスの場合は、 内側・外側ハムストリングスの間を圧迫する。一定の深さでゆっくりと膝を伸展させる。
大腿直筋と同様に10~20回繰り返す。膝を完全伸展できれば、圧迫点を横に1~2cm移動して同様の操作を繰り返す。
腸脛靭帯の場合は、外側広筋と接する前縁は大腿直筋と同様の方法で、大腿二頭筋と接する後縁はハムストリングスと同様の方法で ISR を実施する。
圧迫方向を大腿骨に向かう方向から前方に向け、腸脛靭帯の裏側に差し込む方向に変えていくと効果的です。
正常伸展位での大腿四頭筋セッティング
慢性炎症により、 膝蓋骨周囲の不定愁訴や大腿四頭筋筋力の低下をもたらすことがあるます。
これを防ぐためには、 腫脹が残存している状態であっても大腿四頭筋セッティングを行い、膝蓋骨の上方への可動性と大腿四頭筋の正常な収縮機能を保持して おくことが大切です。
これを防ぐためには、
LCS による異常外旋がある場合、 膝蓋粗面が外方に位置するため、大腿四頭筋収縮時には膝蓋骨が外下 方に偏位した状態となっています。
そのため、外側広筋や大腿直筋の収縮が強くなり、 内側広筋の収縮しにくくなります。
これを解決するには 「内旋誘導枕つぶし」を行いましょう。
下腿近位部後面の外側で枕つぶしをしながら、膝を伸展します。この時、脛骨の内旋を誘導しながら膝を完全伸展して、大腿四頭筋セッティングを行いましょう。
完全伸展獲得後のトレーニング
踵の下に、枕を用いた大腿四頭筋セッティング。
踵で枕をつぶしつつ、膝を伸展 強制しながら大腿四頭筋を最大限に緊張させるよう意識し、 特に内側広筋に最大限の緊張 を得るように努力させる。
大腿直筋の緊張を抑制するため、 ハムストリングスに充分な柔 軟性があれば体幹を前傾させて行うほうが望ましい。
膝完全伸展を強調した片脚でのスクワット
異常外旋のない完全伸展位での片脚立位から、knee in しないようしながあら、膝蓋骨中央が第3趾の真上にくるように膝を屈曲させるよう片脚スクワットを実施させる。
膝の屈筋のトレーニングとしては、膝完全伸展位から膝窩筋の unlock 作用を発揮せ、 膝窩筋と内側ハムストリングスの協調運動を促進するための初期屈 曲トレーニングを実施する。
腹臥位で膝を完全伸展位し、 下腿近位部にチューブで強い抵抗を加える。
この状態から、腓腹筋の関与を減らすため足関節底屈位し、下腿内旋を意識しながら、膝を約30°まで屈曲、その後伸展して完全伸展に戻す。
日常生活動作やスポーツ活動中の誤った動作習慣を改善する
日常生活動作中など、下腿外旋が助長されず、大腿四頭筋が正常な機能を発揮できる動作を習得・習慣化させなければなりません。
徒手療法の際は、 圧迫部位周辺の神経や血管などに配慮が必要。また、圧迫が強すぎるとその部位に炎症を生じる可能性あり。注意が必要。
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