リハビリ

代表的なスポーツ外傷と下腿外旋症候群との接点は?

代表的なスポーツ外傷と下腿外旋症候群との接点は?

大腿脛骨関節の急性外傷

①前十字靭帯損傷

 膝前十字靭帯(ACL) は大腿脛骨関節において、大腿に対する脛骨の前方移動を制動する役割を担い、 大腿四頭筋収縮による膝伸展力に対して拮抗している。
 ACL が断裂すると、前方不安定性とともにALRI (前外方不安定性) が生じ、特徴的な膝くずれを二ったと呈するようになる。
 ACL損傷直後は、 膝屈筋群のスパズムと腫脹により下腿外旋を伴う伸展制限が出現し、特徴的な knee in 歩行を呈する。
 また遊脚相には不安定感など により膝周囲筋を緊張させるため膝屈曲角が不足しやすく、つまずきを防ぐため、toe -out しつつ患側を前方に振り出す。
 この異常歩行は下腿外旋傾向を強める。

②内側側副靭帯損傷 (II度)

 内側側副靭帯 (MCL) は大腿脛骨関節内側にあるが、 膝外側への直達外力によって外反が強制された場合に MCLは損傷する。
 MCL のⅡ度損傷の場合、大腿脛骨関節の内 側構成体と概則構成体との緊張バランスが破錠し、相対的に外側の緊張が強まるため 急性期には ACLと同様に下腿外旋を伴う伸展制限が生じやすい。

③ 後十字靭帯損傷

 後十字靭帯(PCL) は大腿骨に対する脛骨の後方移動を制動する靭帯である。
 損傷後も保存療法が選択されることが多いが、問題となりやすい点として下腿外旋症候群が あげられる。
 受傷後完全伸展が得られていない場合や、スポーツ活動などで慢性的に大腿脛骨関節に炎症が生じている場合、滑膜増殖や膝蓋下脂肪体の拘縮が進行する。
 このとき、大腿四頭筋の収縮により脛骨内側は容易に前方に引き出されるのに対し、腸脛靭帯、外側側副靭帯、膝窩筋腱などが複雑に走行する外側は前方に移動しにくい状態 (LCS) となり、 下腿外旋症候群に含まれるような多様な症状が出現する場合がある

④内側半月板損傷

 内側半月板(MM)は、脛骨高原の内側にあって大腿骨内顆との適合性を高めるととも に、衝撃を吸収する役割がある。
 MM 損傷はジャンプの着地などの knee in によって ACL損傷や MCL損傷と合併して損傷する。
 MM 損傷は脛骨内側の前方移動 (AMRI) により、大腿骨内が相対的に MM の後方に荷重するために起こるものと推測され、 AMRIを伴う下腿外旋症候群が発生しやすい。

大腿脛骨関節の慢性外傷

①鷲足炎

 縫工筋、大腿薄筋、 半腱様筋で構成される。
 これらの筋腱は下腿外旋、 特に AMRIによる脛骨内側の前方移動に対して緊張を強めて抵抗する。
 その緊張は膝屈曲位と比較して伸展するほど緊張を強めて抵抗する。
AMRI を呈する膝では heel contact 直前と toe – off直後など膝が最終伸展に近づく相で鷲足部でのストレスが増強し、これに下腿外 旋 (toe out) が加わるとさらにそのストレスが増幅されることが推測される。

②腸脛靭帯炎

 腸脛靭帯は股関節外側の大腿筋膜から連続した模様の組織である。
腸脛靭帯炎は大腿骨外顆付近の痛みを指す。
原因として、内反膝または動作中の knee out による緊張の亢進と大腿骨外頼を繰り返し乗り越えるための摩擦が指摘されている。

③膝窩筋腱炎

 膝窩筋は大腿骨外顆の外側から外側側副靭帯、大腿二頭筋腱をくぐり、さらに腓腹筋 外側頭をくぐって下腿後面の内側に至る。
 軽度のPLRIによる脛骨外頼の後方移動により、膝窩筋腱が強いストレスを受けて発症すると考えられる。
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